支柱枠(Inner rim)


 支柱枠は18枚の赤ブナ材を重ねた積層板を曲げて形づくります。一般的には大きな力をかけて形成された支柱枠は緊張しているので、これを張力に対する支えとして利用します。ブリュートナーでは支柱枠の緊張を軽減し自由な振動をさせるために、3分割して構成する工法を採用しています。


支柱(Back post)

 支柱は支柱枠を内側から支える、まさに柱(構造部材)です。この支柱に構造部材としての強度と音の伝達経路としての役割を持たせるために、フレームボルトを受けとめる硬い赤ブナ材を、伝達性に優れたパイン材で挟み3層構造としています。二つの木材を組み合わせる事で、強度と伝達性に優れ、湿度変化に強い支柱をつくる事ができるのです。

響板のクラウン加工(Cylindrical curvature of Sound board)


 響板の上には、弦を乗せてその振動を響板へ伝える駒が取りつけられています。駒の上に張られた弦は常に駒と密着していなければなりません。そのため弦は駒を頂点として山なりに張られます。これにより弦は駒(響板)に対する圧力によって駒と常に密着することが出来ます。響板が弦の圧力に耐えるためには、それ自体が駒を頂点として山なりになっていなければなりません。これは殆どの橋梁が、橋自体を山なりに架けて強度を保っている事と同じです。多くのメーカーは響板の中央が高く盛り上がるように加工します。

 ブリュートナー社は、響板上の駒が山の尾根の上に乗るように、紙を丸めて筒を作る要領で、響板を一方向のみに曲げる方法(Cylindrical curvature)を採用しています。どちらのクラウンも、響板の裏面に取り付けられる十数本の響棒が、その形状を支えています。

 ブリュートナーのクラウン加工と、それにまつわる工夫は一枚の紙片を使って理解することができます。四角い紙の対角を持って上向きに反らせてみてください。ブリュートナーの響板は、正にこの状態なのです。ただし、上向きに反らした紙をテーブルの上に置くと紙の一部しかテーブルに接しません。これはインナーリムの上面に響板を取りつけるときの課題となりますが、その隙間を埋めるためのサウンドボード・レストを採用することで解決しています。
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